donuthole.org / novels / やることなすこと /  2日目 12月23日-3

170827(Sun) 18:53:32

閲覧数 32

3

 運動して、シャワーを浴びて、食事をとって、由海ちゃんの腕のなかにいると眠たくなる。ふだんと違う自分の声に気づく。いつもと違うことをしている。
「あしたどうしよっか」
 わたしとおなじ、いつもとは違う声が耳元でかさかさ揺れる。どれくらいこうやってしていただろう、昼食の途中からこんなことをし始めて、最後の西日はもう射さなくなった。南西むきのリビングはほとんど薄闇だ。膝掛けをしていても手脚の末端が冷えている、何もかけていない由海ちゃんはもっと寒いだろう。学校がないと無尽蔵の時間があるような気がしてくる。このままだと冬休みじゅう彼女とこうしているんじゃないかと、恐ろしげな幸福を予感する。
「あした?」
「なんの日かわからないの?」
「そっか。クリスマスだっけ」
 クリスマスだからといって何かをする家庭で育ちはしなかった。小学生のころにはケーキを買ってきてもらって、翌日の枕元に何が置かれているかを楽しみにしていたけれど気がつけばもうそんな歳ではない。
「ことし一年いい子にしてましたかー?」
「どう、だろう……」
 悪いことをしていたとは思わないけど、特別いいことをしてきた訳でもない。そもそも由海ちゃんと出会うまではそんなことを考えて生活していなかった。出会ってからは、どうだろう。彼女としてきたことを思い出すけれど、いけないことをしているとは思うものの、それを分けているのは善悪ではなかった。ただしたいことをしたいままにして、何もわからずにいるばかりだった。それでも、彼女の声をきいていると、彼女のまえではいい子にしていたいと詮ないことを思ってしまう。
「私は今年一年いい子だったので千世がやってきてくれました」
「まだクリスマスイブもきてないし、それに由海ちゃんがいい子にしてたから転校してきた訳じゃないよ」