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3章2節その3。
3章おわり。

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 マイクの声であやなさんの声が聞こえる。
「これがある恋の顛末です。あたしたちテレパスはこうして淡潮を牛耳る一方消えてゆくのです。消えてしまった、今年の初めになくなった高田ゆきはああして最期を、同じように宗像よしのも迎えました。あたしは怪物ですが、あなたたちも怪物です。人を越えた力を持つ……」
「めぐみんだめだよぉ。これはお芝居なんだよよしののはいなくって、目の前にいるのはゆきだよ。めぐみんが好きだったぁ……」
「そんなことないもん。わたし、よしのちゃんが好きなの。よしのちゃんが消えていくのやだよ。最近おかしいもん。ゆきのときみたいに、よしのちゃんまで消えそうなんだよ……」
「……萌、何をいっているの。萌は私のこと好きなんじゃないの……」
「淡潮ではこのような悲劇が起きているのです。身に覚えのある人もいるでしょう、怪物のあたしはここに出てきた田村早紀と高田ゆきのような悲劇を……」
「そうだよぉ……ちぃとめぐみんは恋人同士だよぉ。それなのに、ひどいなぁ……」
「千佳ちゃんとは、期間限定の恋人だったもん。よしのちゃんがまたわたしを好きになってくれるまで、千佳ちゃんも花ちゃんが好きになってくれるまで……」
「だめなんだ萌。もう、私、萌のことが好きなんだ。期間限定じゃないよね。そんなこといわないでよ。私、萌のこと好きだよ……」
 頭のうえを言葉が通り過ぎてゆく。
 すぐに忘れちゃうから何の話かはわからない。
「……演劇という形式を通して淡潮のうえにある環境と人々、怪物の存在と怪物でないすべての生徒たちが危機にさらされているということを……、また、あたしたちの交わす言葉の自由は……」
 そんなこといわないでよ。
 わたし、たぶん、わたしのことばをようやく話せたかもしれないのに。
 そんな、物語なんかにしないで。
 でも、みんな恋をしているんだなあと感じた。
 恋って、気持ちいいもんね。
 でも、苦しいな。
 泣かないでよ、そんな。泣いてるの誰だっけ。
 わたしか。
 わたしの泣き声きこえるよ。口が動かなくても叫んでる。
 もう少しで、わすれちゃったこと取り戻せる。
 わたし、誰が好きなの。
 でも、みんな、たくさんのひとが好きなのかな。
 好きの応報が通り過ぎてゆく。
 あっ、萌がまたわたしのこと好きっていった。
「わたしも千佳ちゃんのこと好きだけど……」
 千佳が好きなんだっけ。
 違うか。
 萌が好きなんだっけ。
 花さん、ごめんね。
 あやまらなくてもいいよ。
 めぐみんのことで煩わせてごめんね。またすぐ好きにさせてあげるから。
 わたし、萌が好きだからもういいよ。
 わたし、返してよ。
 だーめ。よしののは花が好きなのぉ。
 困ったなあ。